イベントレポート
「子にとって あなたにとって
心地よい 楽しい 楽なだっこを見つけよう」
2023年10月4日実施
だっこが辛いときはないですか?
安全なだっこはできていますか?
海外での生活でだっこに戸惑うことはないですか?
「だっこを変えると育児が変わる。」
本イベントでは、
講師として迫きよみさんをお招きし、
だっこにお困りの皆さんへ、
とっておきの知恵や工夫をお届けしました。
だっこRoomで、「だっこ紐130種コレクション」を紹介している迫さん。
だっこについて25年も考えてきたご経験の上で、
だっこ以外の子どもとの関わりについてもお話をうかがえました。
迫きよみさん
NPO法人 子育てを楽しむ会代表。だっこRoom代表。
保育士・介護ヘルパー2級。
特にだっこやおんぶの相談、赤ちゃんの発達が得意分野。
全国の支援者向き講座の講師としてのご経験も豊富です。
イベントでは、海外在住のママや妊婦さんにご参加いただき、迫さんが参加者の皆さんからの疑問にお答えする形で、進行していきました。 その中で迫さんに教えていただいた「だっこや赤ちゃんとの接し方についてのポイン ト」をいくつかご紹介させていただきます!
ポイント①
迫さんが早い時期での縦抱きをお勧めしないわけは?
以前は、だっこ紐は、生後6か月をすぎて、手が空かないときに使うものでしたが、
近年、海外のだっこ紐も簡単に手に入るようになり、新生児から縦抱きができるという商品が増えてきました。
25年くらい前から、手づくりのだっこ紐を作り、たくさんの人のだっこサポートをしてきた中で、
「新生児を縦抱きするのは危険かな?」と感じてきた迫さん。
約3㎏で産まれてくる赤ちゃんは、その3分の1が頭の重さ。 60kgの大人に置き換えると、約20㎏が頭!
そう考えると、「縦抱きが赤ちゃんにとって負担があるのでは?」というのも納得。
迫さんがこれまでご相談を受けてきた方の中では、「身体が動かしにくい、おっぱいが飲みにくい、呼吸がしにくい、ごはんが食べにくい、寝返りがなかなかできない。」などのお悩みがあるお子さんは、縦抱きが早かった方が多いと感じられているそうです。
そんな理由で、赤ちゃん自身が自分で首が座るようになるまでは縦抱きはおすすめされていません。
また、赤ちゃんが自分で身体の動かし方を見つけていくほうが、子どもの身体の発達のためになるというのも、
迫さんが早い時期での縦抱きをお勧めしない理由の一つです。
ただし、ご家族の状況に応じて、無理はしないでくださいね。 「第2子以降の場合、家族の安全も守らないといけない。
上の子の手を離さないために、早めに縦抱きにしてしまうのは仕方がないですよね。」と、
あくまでもできる限りでの対応についてアドバイスをいただきました。
ポイント②
環境にあわせて柔軟に対応しましょう。
産後はなるべくゆっくりしてくださいね。
迫さんご自身も、子育てで体調を崩された経験から、「みんながみんなそういう生活をできるわけではないですが、できたらなるべく1か月は横になって過ごしながら、赤ちゃんが横にいる生活を送ってくださいね。」とアドバイスをいただきました。
とはいえ、上のお子さんがいたり、海外にお住まいの方は特に家族のサポートがない方もいらっしゃいます。
また、ずっと家にこもっている生活がストレスの原因になることも。
迫さんからは、「赤ちゃんが首が座るまでの時期は、お母さんもあまり早くに出歩かずにゆっくりしたほうがいいかなと思いつつ、お母さんが外に出たい気持ちもわかる。実際は、 おうちにいるほうがストレスかかる方は工夫をして、外に出る。
サポートがある方は、おうちでゆっくり。それでいいですよ。ただ、なるべくベビーカーを使うなど、本来は、首が座っていない時期にだっこ紐は使わない過ごし方ができるといいですね。」と、環境にあわせての柔軟な対応をお勧めしていただきました。
お住まいの地域によっては、ベビーカーを押して歩きづらい場所もあると思います。
状況にあわせて、工夫できるといいですね。
ポイント③
赤ちゃんは必ずしもだっこを求めていない?
「赤ちゃんは、たくさん抱っこするのが大事!」と言われることがあります。
でも、迫さんによると、「大人でも好きな人にずっとハグされていたら、嫌ですよね。赤ちゃんが不安に思ったときに、お母さんが抱っこしてくれたら、嬉しいけど、その抱っこが1時間続くと、本当はそこまでは望んでいないかもしれない。」
わかりやすいたとえに、聞きながら、思わず頷いてしまいます。
「おなかの中ではまるい姿勢になっている赤ちゃん。赤ちゃんによっては、くるまれることを安心と感じる子もいます。
でも成長に伴って、背骨の骨がしっかりしてくるためには、 手足をバタバタする練習も大事です。赤ちゃんがきょろきょろして、周りを見たがってい たりしたら、景色を見れるようにしてあげる等、よく観察すると、赤ちゃんはサインを出していますよ。」と、赤ちゃんとしっかり観察することの大切さを教えてもらいました。
サインは赤ちゃんによっても違います。
ママだけではなく、パパや周りの家族などたくさんの人が対応できるといいですね。
ポイント④
答えは一つではありません。
だっこ以外の方法もあるんですよ。
だっこの頻度が高いとお父さんお母さんも疲れてしまいますよね。
迫さんからは「赤ちゃんはお母さんにだっこをしてもらいたいと思っているわけではなく、呼んだときに来てほしいと思っています。泣いた=抱き上げないといけないと思わなくていいんです。泣きかけたときに、声をかけると、泣き止むこともあ るし、膝に乗せるだけでもいいんです。『そばにいるよ』と言ってあげるだけでも 安心してくれますよ。」と温かいアドバイスをいただきました。
実際、赤ちゃんに優しく触れたりするだけでも、赤ちゃんが安心したり、ちょっと高い声のトーンで、抑揚のある声に赤ちゃんが注目したり等、だっこ以外にあやす方法もたくさんあるそうです。 だっこ紐を使うとどうしても、腰に負担がかかります。「赤ちゃんが床でゴロゴロできる時間を増やして、早く歩けるようにすることを目標にするのも一つの方法。」と迫さん。
「だっこをするときは、しゃがんで迎えに行く、赤ちゃんを腰の 負担がない高さに寝かせるようにするなど、おうちで工夫できることもありますね。」と教えていただきました。
また必ずしも、ママである必要もないので、協力して周りの大人が対応できるといいですね。
「だっこ紐は、家事等のしないといけないことがあるときに、使うことが多いのですが、赤ちゃんにとっては関係ないことです。私はいつも『家事を誰かに手伝って もらえませんか?家事をもう少し手をぬく方法もありますよ。』とアドバイスして います。赤ちゃんが自由に身体を動かせる時間を確保し、赤ちゃんが求めてきたときにはハイと手を出せるように環境にあわせて、臨機応変に対応してみてくださいね。」と迫さん。
いろいろな視点で、だっこ以外の工夫も伝えていただきました。
最後に、「みんな環境が違うので、答えは一つではないし、正解はどこにもないんです。」
というお話がとても印象的でした。
迫さんが代表をつとめる「だっこROOM」のサイトには、だっこについての工夫がたくさんまとまっています。
こちらもぜひご覧ください。
赤ちゃんを迎える方に見ていただきたい動画がまとまったInstagramはこちらから。